(五万ヒット記念作品)

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  オリ主と原作キャラの恋愛が無理と言う方は戻るをクリック推奨です。






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 ピアニャちゃんと会おうと思い立ちトトリちゃんの家に遊びに行ったある日の事。

「地下深く、ドラゴンに襲われた俺たちはぷにとアカネの合体攻撃で華麗に打倒したという話があってな」
「ぷにぷに」
「へー、二人とも強いんだね」

 キラキラと輝く目が俺とぷにを射止める。
 知り合い連中だとどうせぷにが一人でやったんだろと言われてしまうのでなんか新鮮な気分だ。

「ふふん」
「ぷに〜」

 リビングで五割方本当の話を吹き込み、ぷにもなんだかんだで優越感を覚えているようだ。
 次は塔の悪魔の時の華麗なアカネ奮闘記ををと思い口を開こうとしたところで、アトリエからトトリちゃんが顔を覗かせているのに気づいた。

「ちょうど良いところに、トトリちゃんも俺の武勇伝を……」

 と思ったが、ちょっと困った様子だったので言葉を打ち切った。
 これはトトリちゃんが俺に頼みごとをする流れ。長年の経験が俺にそう囁く。

「アカネさん、ちょっと良いですか?」

 いつもの様に若干遠慮がちな様子でそう言ってくるトトリちゃん。
 ただ何故か顔だけでこちらに入ってこようとしない。

「ふふ、良いともさ。どうだ妹よ俺の言ったとおりだろう?」
「うん、あにきはいっつも皆に頼られてるんだよね!」
「アカネさん……」

 無邪気な笑顔のピアニャちゃんとは対照的に、なんか可哀想な子を見る目をトトリちゃんが投げかけてきた。
 別に嘘ってわけじゃないと思う、ほんの一割でも真実なら嘘じゃないと思いたい。

「俺を哀れと思うなら、早く俺にお願いをプリーズだ」
「は、はい……。じつはちょっと調合を失敗しちゃって……」

 目を逸らしながらそういうトトリちゃんの背後から、何やら黒い煙が漂ってきた。

「うーこげくさーい」
「ぷに〜」
「失敗レベル小と言ったところだな」
「うう……」

 大まで行くと家が揺れるくらいの爆発が起きる。
 なんだかんだでトトリちゃんが調合を失敗するのをみるのは久しぶりな気がする。

「それで材料がなくなっちゃって、一緒に採取に行きましょうっていう流れか」
「はい、良いですか?」
「俺がトトリちゃんの頼みを断るわけがないという訳で行くか」
「ぷに!」

 いざ三人パーティーでレッツゴーと立ち上がったが、座ったままのピアニャちゃんが何とも不満そうな顔を俺に向けていた。

「……ぷには残りなさい」
「えへへ、あにき分かってるー」
「ぷにに」

 仕方がないと言った様子でぷにはピアニャちゃんの膝に乗っかった。
 それにしても妹は兄を見て育つと言うべきか、俺の言語体系を微妙に受け継いだ喋り方になってきているなこの子。

「大人しくぷにで遊んでろよ」
「はーい」

 その返事を聞き届け、俺はトトリちゃんと一緒に採取へと繰り出した。













「今になるとこのリスたちも可愛いもんだぜ」

 近場の森まで来て、タルを持ったリスたちを軽く蹴り飛ばしながら進んでいる。
 
「しかしあんまり見つからないな」
「そうですね。あと三つくらいあるといいんですけど」

 木の枝になる赤い木の実を求めて目線を上げて首を右往左往とさせてみるが、全然見当たらない。
 ここで軽く見つけて頼りになる人アピールをしたいのだが、いまいち芳しくない。

「ピアニャちゃんの機嫌も考えて夜までには帰りたいところだが……」
「それじゃあもうちょっと奥まで行ってみましょうか?」
「うむ、この辺じゃもう見つかりそうにないしな」



 そして、歩みを進め、リスと戯れ、また奥に進んでいるうちに……。




「夜になってしまったよ」

 木の実三つを探していたら夜になっていた。何それ怖い。

「うー、もう一日中歩き通しで疲れちゃいましたよ……」
「ああ、俺も流石に疲れた」

 リスも積もれば大ダメージ。気分的には二四時間ボディにジャブを喰らっている感じ。
 フラムを使うのももったいしないし負けた気がして結局ずっと素手と言うのも大分効いている。

「これは錬金術士に恨みを持つ人間の嫌がらせじゃなかろうか」
「さ、流石にないと思いますよ……?」

 さしものトトリちゃんもこれだけ見つからないと確信に至らないようだ。
 上を向くと、空にはすっかり月が昇っていた。

「ん?」
「どうしたんですか?」
「いや……」

 六十度くらい傾けていた首をさらに上に傾け、真上を向いた。
 そこには灯台下暗し的な単語が似合いそうな感じに赤い木の実が生っていた。
 ただ枝の位置が微妙に俺一人じゃ届かない高さだ。

「よしトトリちゃん肩車するか」
「ええっ!?」

 唐突な俺の発言にトトリちゃんが二、三歩後ずさった。
 僭越ながら、やましい気持など砂粒一粒くらいもあると言わせて頂こう。
 だが決してエベレストほどはないと言う事も公言しよう。

「上、上」
「へ? あ、ああ……そういうことですか」

 心得たと言った具合にトトリちゃんは頷いた。

「そしてしゃがんだ俺の肩に足を乗っけて……」
「し、しません!」
「…………」

 しゃがんだままの姿勢を保って無言でスタンバってみた。

「…………」
「だ、だからしないですから」
「…………」
「は、恥ずかしいですし……」
「…………」
「あうう」

 暗闇で見えないだろうが、俺の口元は気持ち悪いくらいに曲がっている。
 トトリちゃんが顔を赤くしているのが手に取るように分かる。
 このままいけば意外と肩車できる流れになるかもしれない。

「…………」
「ぜ、絶対に……上向かないでくださいよ……?」
「グッド!」

 心の中でガッツポーズを、手は親指を突き立てていた。
 だが紳士的なアカネさんは特にいやらし系ハプニングもなく終わらせるだろう。流石アカネは格が違うと言うところを見せつけてやろう。

「そ、それじゃあ乗りますよ」
「…………」

 一瞬口から決して紳士的ではない言葉が溢れだしそうになったが自重した。
 だってねえ、肩に生足乗っかってきてそれを手で掴むって……ねえ。
 一日歩き続けて闘ってたんだし、これくらいの役得があっても良いと思う。
 ほのかに自分の心の仲にくすぶる罪悪感とも違う何かにそう言い訳をする。
 こう、何かとてつもなく悪い事をしている気分なんだ。

「うんしょ、よいしょ!」
「ガンバレー」

 おそらく腕を伸ばして木の実を掴もうと奮闘しているんだろう。
 下にいる俺はブッダもビックリなくらいに無心に近づこうとしているが、もぞもぞ動く足のせいで心の汚い部分が増幅してしまう。

「クッ……ん?」

 必死に下を向いていると、足元に何か鋭い物があるのが見えた。

「んー? ………………ウニ!?」
「と、採れた! ――ってええ!?」

 過去のトラウマで思わずたたらを踏んで体勢を崩す俺と、木の実を採って体勢を崩したトトリちゃんの動きがプラスされ、自分でもどうなっているか分からないような体勢で崩れ落ちた。

「クッ、こ、腰が……」

 大分後ろに下がってしまったようで、木に体をぶつける形になってしまった。

「トトリちゃーん、大丈夫かー?」

 後ろのを背もたれにして俺は周りを見回したが、いかんせん視界も悪く見つけられない。
 立ち上がって探そうと思ったところで、足の間、俺の体の前、ちょうど死角になる部分で何かが動いているのに気づいた。

「…………」
「……ええっと、その……」

 見事に俺の前にすっぽりとトトリちゃんが収まっていた。
 構図的にはイチャついて彼氏に背を持たれさせている彼女みたいな感じ。
 俺にはハプニングが起きない、そんな風に思っていた時期が僕にもありました。

「あ、あーっと……」
「…………」

 どちらも立ち上がる事が出来ず、かといって何も言う事も出来ないでいた。
 本当にこれはどうしたらいいんだ。肩車からのこの流れでなんか雰囲気が……。

「あ、アカネさん! 星! 星がきれいですよ!」
「お、おお! ホントだなあ!」

 トトリちゃんの強引な方向転換に俺も強引に乗っかって、事なきを得ようとしたが、結論から言って無理だった。

「き、きれいですね……」
「ん、あ、ああ」
「…………」
「…………」

 ぎゅっと、腰のあたりをで腕を交差させて抱きしめてみた。

「わっ!? あ、アカネさん?」
「あー、いや、その……そういう雰囲気かなって」
「…………」

 トトリちゃんは耳まで真っ赤になって黙りこくってしまった。

「な、何か言ってほしいなーって」
「その……」

 ヘタレだよ我ながら、抱きしめてその後は投げっぱなしって、ヘタレだよ。
 それにしてもこう、ちっちゃいから抱きしめやすいなトトリちゃん。それに夜で寒いから暖かさが大分心地いいと言うか……。

「…………」

 結局どうすることもできず、互いに顔も見れないでしばらくの間、ずっと星空を眺めていた。
 そしてどれほど経ったくらいか、俺はようやく落ち着いてきて口を開く事が出来た。

「……親愛の情が恋愛の情に変わるのはアリだと思うか?」
「えっ、そ、それって……」

 弱々しい月明かりでもはっきり分かるくらいに顔を真っ赤にしたトトリちゃんが振り返って俺の顔を覗き込んだ。
 冷たい風のせいで俺の顔もまた真っ赤になってる事がしっかりと分かってしまう。

 俺はその先を言おうとして、言おうとして、そして――。

「……か、帰るか!」
「え、えええ!? アカネさん!?」

 ヘタレた。

「よしよし、木の実も取れたし、帰ろう帰ろう!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! アカネさん!」

 後ろからのトトリちゃんの声を無視して、俺はアランヤ村目指して一心不乱に足を進めるのだった。
















 翌日、自然とトトリちゃんの家に足が向き、リビングでまたピアニャちゃんとお話をしていた。

「それで、俺とぷにが地下深くでドラゴンと戦ってだな」
「あにき?」
「うん、どうしたよ妹よ」
「その話昨日も聞いたよ?」
「ぷにぷに」
「お、おおう、そうだったか」

 完全に心ここにあらずだ。さっきからアトリエの方の扉に視線が流れてしまう。
 このままじゃいけない、ピアニャちゃんも心配そうに俺の事見てるし……。

「我が妹よ、貴様に特務を与えよう」
「とくむ?」
「トトリちゃんが俺の事をどう思っているか聞いてくるんだ。いいな?」
「んーと、わかった!」

 トトリちゃんの事だからだろうか、良い返事を返したピアニャちゃんはアトリエに入って、数分して戻ってきた。

「早いな」
「ぷに」

 ニコニコとしながら戻ってきた我が妹に戦々恐々としながら、言葉を待った。

「なんだって?」
「えっと、昨日も今日も男らしくないです。はっきりしてください……だって」
「ですよねー」

 舌ったらずなピアニャちゃんの口から聞くことにより俺の心はズタボロボンボンだ。

「ぷに」
「うむ、つまりははっきりすればいいんだよな」

 俺の気持ちか、昨日の出来事のせいで一気に全ての想いが恋愛方面にチェンジしてしまった今の俺の気持ち……まあ決まっているな。
 
 立ち上がって、走って、アトリエの扉を叩き開けた。

「俺はトトリちゃんが恋愛的に好きだ!」

 アトリエに響き渡る声で、俺はそう叫んだ。





 結果はどうだったかっていうと、今日も俺はヘルモルト家でおいしく手料理を食べている。
 もちろんトトリちゃんが作ってくれている。まあそんな生活だ。



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